研究概要 |
ここ数年の台風災害,地震災害において盛土の崩壊が多発しており,その大きな原因のひとつとして所期の締固め強度が盛土端部において十分に得られていないことが挙げられる.その数は看過できない状況となっており,先の新潟県中越沖地震においても道路盛土の崩壊が多数発生している.このような状況から施工時の品質を保証できる工法開発が喫緊の課題である.また,災害時道路盛土の復旧には時間的制約から効率的な締固め方法が必要とされている.本研究は盛土端部の締固め強度不足による崩壊を抑制しうる転圧方法を開発し,災害復旧の高速施工に対応した厚層転圧システムの構築を目指すものであり,現場対応型の締固め指標の策定,厚層における密度管理手法を開発したのち最適振動数の追究を行うものである.特に当該年度は最適振動数追について,踏圧面確保と載荷周期,軸荷重の組み合わせによる締固め効果を考察するため土槽転圧試験を土槽転圧システムと振動数可変型転圧用車両を用いて行った.当該年度の研究実績として,起振力と機械総重量との比である載荷比が0.70付近において締固め効果を最大限得る最適振動数の存在を確認した.従来の振動転圧における振動数の設定は,振動数を高くし衝撃荷重を得ることで締固め効果の向上を期待しているが,本成果の値は11Hz付近である.また最適振動数付近での締固め後の試料の深さ方向の密度差が他の振動数による締固め結果より明らかに小さくなっており,厚層における締固め工への滴用可能性を示した.
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