研究概要 |
本研究は,実環境にあるコンクリート構造物の劣化原因のひとつであるコンクリート中の鉄筋のマクロセル腐食の形成機構を解明し,これを踏まえたコンクリート構造物の維持管理手法について検討することを目的としている. 本年度は,模擬供試体を用いた実験を実施し,様々な要因がマクロセル腐食の形成機構に及ぼす影響を明らかにするための検討を行った.この結果,マクロセル腐食による鉄筋の腐食速度は,鉄筋の腐食部分と非腐食部分の表面積比や気温,水分供給の有無,コンクリート中の塩化物イオン濃度などによって律速されるが,マクロセル腐食による腐食量は最大でも鉄筋の全腐食量の30%以下に留まることを明らかにした. また,次の3種類の供試体を製作し,屋外暴露試験を開始した. 1.異なる補修工法のマクロセル腐食の抑制効果を検討するため,表面塗装,撥水効果を有する含浸材の塗布,鋼材腐食抑制効果のある含浸材の塗布を行った供試体 2.異なる補修材料のマクロセル腐第食の抑制効果を検討するため,セメントモルタル,ポリマーセメントモルタル,軽量ポリマーセメントモルタルを用いて断面修復を行った場合を模擬した供試体 3.異なる種類の鋼材のマクロセル腐食形成機構を検討するため,PC鋼より線,異形鉄筋,丸鋼を用いたマクロセル腐食模擬供試体 来年度以降,これらの供試体の暴露試験を継続して検討を行っていく予定である.
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