研究概要 |
平成22年度は,平成21年度に開発した鋼管の曲げねじり用の疲労試験機(純ねじりも可)を用いて,鋼管の溶接継手の曲げねじり試験を引き続き行った.この疲労試験機の載荷速度は15~20Hz程度と,一般の疲労試験機と比べて高速に疲労試験が行える. 平成21年度の疲労試験において,鋼管の固定部でフレッティング疲労き裂が多数発生した事を受けて,平成22年度は,固定部にゴム板を挟み込んで疲労試験を行った.ゴム板が挟まれた場合,曲げねじり疲労試験のねじり成分によって,鋼管が回転することが懸念されたが,固定部で鋼管を強固に抑え込むことにより,所定の曲げねじり疲労試験が行えることを確認した. 疲労試験は,標識柱等で利用される114.3mmの鋼管を用い,鋼管をフランジへすみ肉溶接した継手に対して,曲げねじり疲労試験を行った.曲げによる直応力とねじりによるせん断応力の比を変えて試験を行った.すみ肉溶接の脚長は4mmとした. 曲げねじり疲労試験の結果,いずれの試験体も,鋼管とフランジのすみ肉溶接のルートから疲労き裂が発生し,すみ肉に沿って円周方向に進展した.すみ肉溶接表面に張り付けた銅線で,疲労き裂の発生および進展を確認した.すみ肉の表面に疲労き裂が発生した際に,浸透性の良い速乾性のインクをき裂へ浸透させた結果,インクが浸透した範囲は,鋼管とフランジのすみ肉の半周程度であったので,ルートから発生したき裂がすみ肉溶接内を円周方向に進展したと考えられる.
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