研究概要 |
広域に地震被害が起きた場合には、復旧支援のため道路被害箇所の把握を広域に、また早期に把握する必要がある。このような目的を達成するためには、衛星画像解析による広域での道路被害箇所の分析が有用である。研究内容としては、衛星画像を用いた地震による道路被害抽出システムの開発と道路被害対策GISの構築の二つの事項からなる。ここでは、中越地震に関して行った研究成果を取り上げてその要点を示す。 衛星画像解析による道路・鉄道被害域検出システムの開発では、道路・鉄道における被害形態に注目し,(1)NDVIを用いた被害検出,(2)テクスチャ特徴を用いた被害検出の2つの手法を併用して,被害検出を行った。この画像解析手法により,中越地震の道路・鉄道における被害検出を行った結果,緊急性の高く,交通機能に支障をきたす大規模な被害域については高精度で検出することが出来た。 道路被害対策GISの開発では、衛星画像解析による中越地震における道路・鉄道被害域検出結果,道路・鉄道データ,また標高データから作成した傾斜度データを,ArcViewをベースシステムとしたGIS上にオーバーレイし,道路・鉄道被害に関するGISを構築した。このGIS上に整備した,道路被害域検出結果,道路データを用いて,コストラスタ,加重コスト距離関数により,復旧支援を目的とした緊急輸送ルート選定解析を行った。画像解析と一連した流れで行える道路被害対策GISツールの利用は,概略的な緊急輸送ルートの予測、復旧優先順位の決定など地震発生直後の意思決定に有用であることが示された。
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