研究概要 |
迅速かつリアルタイムモニタリングに対する高い社会的要望の中,本研究は検査車両および橋梁に安価なワイヤレスセンサノードを装着し,さらに検査車両を橋梁の振動源として利用することで検査車両が橋梁上を走行しながらリアルタイムヘルスモニタリングを可能にするモニタリングシステムの開発を目的として,平成20年度は1)ワイヤレスアクセス方式の検討および2)橋梁走行実験用の模型および各種センサ整備の2つの項目を掲げ研究を行った.ワイヤレスアクセス方式として,移動体(車両)にアクセスポイントの役割を果たす基地局を設置したインフラストラクチャ方式(lnfrastructure mode)により検討を行った.その結果,無線送受信距離は屋内実験では40m程度であるが,実橋梁での実験では10m程度に留まることが分かった.さらに,マルチパケット送信方式の採用によるデータ転送の精度の向上を図ったものの,データの欠損が確認され,次年度には中継器の利用や高性能アンテナの採用による改善の余地があると考える.ワイヤレスセンサ間時刻同期については,パケット番号による時刻同期を検討し,現段階では大きな問題がないことを確認している. 移動点検車による橋梁ヘルスモニタリングの可能性を検討するため,模型橋梁車両走行実験装置の整備を行い,健全時および損傷時のパイロット走行実験を行った.また,そのデータを用いて,1次点検法としてのモードパラメーターのパターン変化や2次点検法としての損傷度および損傷位置推定に着目する橋梁の健全度評価を試み,損傷によるパターンの変化や損傷位置の推定は可能であることが分かった.次年度に引きつづき詳細検討を行う予定である.平成20年度に行った研究について,国内・外で積極的に情報発信を行っており,ワイヤレスセンサノードだけではなく,模型橋梁車両走行実験によるアプローチについても高い関心を集めている.
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