研究概要 |
社会基盤施設の維持管理に対する社会的要望の中,本研究は検査車両および橋梁に廉価のワイヤレスセンサノードを装着し,さらに検査車両を橋梁の振動源として利用することで検査車両が橋梁上を走行しながらリアルタイムヘルスモニタリングを可能にするモニタリングシステムの開発を目的とする. 平成21年度は,平成20年度の検討に基づき「実験車両・橋梁のワイヤレス計測ネットワークによるリアルタイムモニタリング」のためのモニタリングアルゴリズムの構築と妥当性検討のための模型走行実験を行った.また,無線送信におけるデータ欠損に対する改善策の検討を重点的に行った.具体的検討結果を次にまとめる. 損傷推定アルゴリズムに関しては,模型桁実験により損傷の位置や損傷の程度まで推定できることを確認できた.特に,複数の損傷についてもその位置の推定が可能であることが明らかになっている.ただし,どのような損傷まで推定できるのかなどの感度解析が今後の検討課題である. 無線パケット送受信時のデータ損失対策および無線通信距離拡張のため,マルチパケット通信・中継器の利用・高性能アンテナの利用を試みた.検討結果,データ欠損率の低減には成功しているが,欠損を完全に防ぐまでは至っていない.他の対策として,カルマンフィルターによる欠損データの補完を試み,その有効性は確認しているが,センサノードそのものの改良との併用が重要であるとの結論に至っている. 当初の計画とおり,2009年7月22日~24日にスイスZurichで開催されたSHMII-4(4^th Int. Conf. on Structural Health Monitoring of Intelligent Structures)にて研究成果の発表を行い,高い評価を受けている.
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