研究概要 |
本研究は検査車両および橋梁に廉価の無線センサを装着し,さらに検査車両を橋梁の振動源として利用することで検査車両が橋梁上を走行しながらヘルスモニタリングを可能にするモニタリングシステムの開発を目的としている 平成22年度は,平成20年度~21年度の2年間の研究成果を踏まえ,実用化に向けた検討を行った.すなわち,「実験車両の走行速度や車両の振動特性の違いが損傷推定精度に及ぼす影響」および「無線センサのデータ送受信に起こるデータ欠損の対策」について,模型桁車両走行実験および実橋梁での計測による検討を行った.具体的検討結果を次にまとめる 「車両の走行速度や車両の振動特性の違いが損傷推定精度に及ぼす影響」に関しては,3種類の走行速度や3種類の車両を用いた模型桁車両走行実験により,走行速度や車両の振動特性に大きく影響を受けず損傷の位置や損傷の程度まで推定できることを確認した.特に,前年度までの実験に比べ軽度の損傷を有する模型桁を対象に損傷推定可能性について検討を行い,曲げ剛性を約6%低減させたケースについても損傷推定が可能であることが分かった.「無線センサのデータ送受信時に起こるデータ欠損の対策」については,まず無線センサ間のデータ転送の成功率が100%になるまでデータ送受信を繰り返すマルチパケット通信を検討したが,データ送受信回数に伴う消費電力の増加が課題となり,データ欠損の補間可能性について検討を行った.その結果,データ欠損が集中しない場合は有効であることを確認した.一方,計測システムを走行車両上に装着し行った模型桁走行実験では,計測データに多くのノイズが含まれており,その改善策が今後の新しい課題になっている 2010年7月11日~15日に米国のフィラデルフィアで開催されたIABMAS2010会議にて,当初の計画より多い,3編の関連成果の発表を行い,高い評価を受けた
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