研究概要 |
本研究は,鉄道施設を対象とした地震リスク解析とリスク転嫁を主題とするもので、本年度は,PhaseIとPhaseIIの継続,および「PhaseIII:モデル路線による試算」,を実施した. 1.Phase I(線状構造物の地震リスク解析),Phase II(地震リスクファイナンス)の成果発表として,主要学会に投稿した. ・製造装置の余剰性能を考慮した生産施設の地震時復旧曲線(第蓋3回日本地震工学シンポジウム) ・地震リスク解析を用いた浄水場配管の最適投資額の算定(第13回日本地震工学シンポジウム) ・首都圏における鉄道施設の地震リスクとリスクファイナンス(地域安全学会梗概集) これらは,線状施設の地震リスク解析事例,およびリスクファイナンスへの適用手法として,地震リスクの定量評価の意義を具体的に提示できたことが重要な研究成果である.さらに,当初の研究主題である'鉄道施設'から,製造施設,浄水場,サプライチェーンに拡張したことは,提案するシステムリスクの柔軟性と一般性を示唆するものとして強調したい. 2.Phase III(モデル路線による試算)として,以下のような研究とシミュレーションを実施した. ・JR東日本のキャタストロフィーボンドの調査(地震デリバティブによる南関東の地震リスクの転嫁) ・鉄道業者による地震リスクファイナンスとして,震災前後の貸借対照表による資産評価(借入金または地震保険の適用) ・関東圏にて営業する鉄道業者を3業者想定して,リスクファイナンスの検討(地震保険,地震デリバティブ,CATボンド). (当初計画にある,広域連合キャプティブの検討については,必ずしも現実的ではなく,代替研究項目として上記のような成果を得た)、このような研究成果に基づき,下記に投稿し,現在審査中である. ・リスクファイナンスのための線状施設の地震リスク評価(土木学会論文集) ・鉄道会社の地震リスクマネジメント(Jcossar2011)
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