研究概要 |
1.はり中央部を部分構造モデルに置換した鋼二層ラーメンのオンライン実験手法による地震応答解析法 水平地震動を受けて柱基部,隅角部および一層目はり中間部で塑性変形が進行する二層門形ラーメンを剛体バネモデルにモデル化した.柱頭部に集中質量mと一層目はり中央に回転慣性Jを仮定した.塑性変形箇所には,Bi-Linear型の曲げモーメントM-回転角θ関係を持つ弾塑性回転バネを組み込んだ,一層目はり中間部では,せん断崩壊する腹板両端に二つの回転バネを仮定し,そのM-θ関係と腹板のせん断力S-せん断変形角γ関係とを対応させた.一層目はり中央の部分構造モデルは,作用曲げモーメントが小さいことを利用して,純せん断を受ける一枚の単一パネルに置換した.オンライン実験に用いる腹板の幅厚比は155とし,せん断座屈によるせん断耐力の低下が地震応答解析に再現できるようにした.運動方程式とその数値積分には,非線形の繰り返し計算を必要とせず,高次振動に対して数値減衰効果を期待できるα-OS法を用いた. 2.二層門形ラーメンの地震応答解析結果の考察・まとめ オンライン実験の手法を用いて,一層目はり中央腹板がせん断崩壊する鋼二層門形ラーメンの地震応答解析を行い,以下の結論を得た. 1)ラーメンの水平復元力-変位曲線は,一層目はり中央腹板のせん断崩壊挙動によって影響を受ける.しかし,腹板に斜め張力場が発生してせん断耐力が上昇すると,一層目はり腹板のせん断崩壊がラーメンの水平復元耐力に及ぼす影響は小さくなる. 2)ラーメンの復元力-変位関係が,一層目はり腹板の先行降伏後,その他部材が降伏するまでの間で履歴ループを描くとき,せん断崩壊する一層目はり腹板は柱基部十二層目隅角部の塑性変形を抑える効果を持ったエネルギー吸収部材として機能する.
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