研究概要 |
平成22年度は,平成20年度に作製した6体の円形断面鋼管供試体の残り3体の(1)初期不整の測定,および(2)type A, type B,およびtype C4の3体について静的繰り返し載荷実験を実施した。3体の円形断面鋼管供試体の特徴は,以下のとおりである。type Aは補強を施さない円形断面鋼管供試体(既設円形断面鋼製橋脚相当),type Bは従来型の補強縦リブ8枚を円形断面鋼管内部に溶接したものである。ただし,補強縦リブ1枚の基本形状は長さ200mm,幅16mm,厚さ2.3mmの矩形鋼板である。type C4はtype C1における補強リブ8枚の溶接位置を45度ずらしたものである。ここで、type C1は補強縦リブ8枚を円形断面鋼管内部に溶接したもので,このC1補強縦リブは,type Bの従来型縦リブからベースプレートとのすき間長さが1.2mm,切り欠き長さ11,1mm,切り欠き幅4.Ommを切り欠いた形状のものである。 実験の結果,(1)円形断面鋼管供試体の幾何学的形状の初期不整を測定した結果は,鋼管の円周方向及び鋼管の管軸方向の結果ともに,いずれも幾何形状の初期不整の許容値以内にとどまり,繰り返し載荷実験結果に及ぼす影響は少ないと判断した。(2)静的繰り返し載荷実験による結果は,現在,実験データを解析中であるが,実験結果の分析は繰り返し載荷実験結果から得られる荷重変位履歴曲線をもとに耐荷力の低下傾向,塑性率による変形性能の評価,エネルギー吸収能による変形性能の特性について検討し,これらに関連する評価パラメータを元に制振・耐震性能の評価を行う。
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