小千谷市にげり地区において、深さ5m〜13.7mの砂れき混じり粘土質シルト層から7つの深度において不撹乱土を採取して、繰返し非排水せん断試験などの力学試験を行った。この結果、すべり面付近の地層の液状化強度比は、0.35-0.4程度と高いことがわかった。土質試験結果をゆるい砂地盤の液状化構成モデル(PZ-Sandモデル)に適用した。同モデルを用いた動的弾塑性FEMソフト(_フォーラム8社のUWLC。群馬大学で開発されたもの)による解祈結果は、二部め地層が地震中に急激に強度を失って上部土塊の長距離移動を招いた状況を精度良く再現するものであり、解析手法の有効性が確認された。このように、一部の地層における地震中の過剰間隙水圧の上昇が斜面崩壊の主因と考えられる場否にはゆるい砂の液状化拳動を念頭に構築された構成モデルに基づく動堕有効応力解析を採用できることが確認された。また液状化強度比が高い粘土質シルト層であっても、大地震時には液状化を起こしうることがわかった。 2007に発生した中越沖地震時に、新潟県刈羽村稻葉地区砂丘下端の家屋が液状化による被害を受けた。現場から採取された不撹乱試料を用いて繰返し非排水三軸試験を実施し、上述のソフトを使用しで有効応力型の動的弾塑性FEM解析を行った。無対策のため被害が甚大であった家屋と十分な対策がなされていたため被害が軽微であった2箇所について解析を行い、現象を精度よく再現することに成功した。これにより、液状化解析ソフトを用いて、液状化による家屋被害の有無を検証できることがわかった。 なお旧山古志村尼谷地地区において泥岩から構成きれる斜面の中央でボーリングを行い、不撹乱土を採取して、繰返し非排水三軸試験などの力学試験を行う予定であったが、用地使用許可が得られなかったため、平成21年度に実施することとした。
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