研究課題
平成20年度に、小千谷市にげり地区で発生した地震による大規模地すべりを、液状化構成モデルに基づく動的弾塑性FEMソフトを用いて解析し、良好な結果を得た。平成21年度は、この地すべりに排水工を想定して同じFEMソフトにより解析を行い、対策工の有効性を定量的に評価することができた。旧山古志村尼谷地地区(斜面は主に泥岩から構成される)において発生した地震時大規模地すべりのメカニズムを解明するために、斜面中央部のすべり面付近から不攪乱土を採取して繰り返し非排水三軸試験などの力学試験を行った。この結果、液状化強度比は0.4程度と高いが、大地震時には強度低下により地すべりを起こしうることが判明した。泥岩斜面においても大地震時には強度低下により深い大規模地すべりを起こしうることを、初めて明らかにした。旧栃尾市大場地区で発生した地震時大規模地滑りのメカニズムを解明するために、斜面中央部のすべり面付近から不攪乱土を採取して繰り返し非排水三軸試験などの力学試験を行った。この地すべりは、深いすべり面に沿ってその上部土塊が剛体的にすべったものであり、すべり面付近に存在する砂質土が液状化して崩壊の引き金となったと推測されていた。詳細な土質試験の結果、すべり面付近は砂質泥岩から構成されており、液状化強度比は0.4程度と高いが、大地震時には強度低下により大規模地すべりが起こりうることが判明した。このメカニズムは上記の尼谷地地すべりと同じである。平成20年5月に中国四川省で発生した斜面崩のうち、大規模岩屑なだれの現地調査を行った。そのメカニズムを解明するために比較的規模の大きい模型実験を国内で行い、メカニズム解明につながるいくつかの重要な知見を得ることができた。
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Proc.Int.Symp.on Prediction and Simulation Methods for Geohazard Mitigation
ページ: 167-172