研究概要 |
斜面崩壊の力学的メカニズムとしては、地山の内部に潜在する亀裂などの弱面に沿ってすべる事例が多いことが、古くから明らかにされている。研究代表者は斜面崩壊の定量的解析に努めてきた。(Ohta et al.(2000),太田(2001),Ohta(2002),太田(2002)) 本申請研究では理論的考察には重点を置かず、もっぱらデータ収集にもとづく経験則の探求に重点をおいている。斜面崩壊の規模と土石流の到達距離との経験的関係(Scheideggerの図)に、過去2, 3年間における土石流のデータを研究代表者が収集した範囲でプロットしたところ、実用的な観点から見て有望そうな展望が得られたからである。昨年度に引き続き本年度も、主として西日本における斜面崩壊・土石流現場をひとつずつ測量・調査し、データポイントの集積をはかった。その結果、実用性の観点から見てきわめて有望なデータ傾向になってきたので、次年度には論文としてまとめる作業に入ろうと考えている。 これまでの現地調査で分かったことであるが、斜面崩壊の最上流に直径1mぐらいのトンネルが存在する場合がある。水が流れていた自然のトンネルで、水みちとなっていたものである。これほど地表に近いところの、非常に浅い地中に、これほど大きな水みちトンネルが存在しており、その中を地下水が流れているのであれば、地中マイクなどで検知可能ではないだろうかと思われる。現場における地中水流を対象とした聴音マイク機器を設計・製作し、次年度降雨期における現場試行の準備をした。
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