研究課題
本研究は大別すると、「解析法の開発・改良・熟成のフェーズ」と「支持力問題への適用に関する工学的応用のフェーズ」の2つに分けられる。20年度は前者については、まず永久変形量を直接評価するための最適化問題の定式化とプロトタイプのプログラム作成を実施した。また、既存のプログラムで計算の高速化を図るために、半正定値行列の連立一次方程式を効率的に解くため数値解析ライブラリーの実装作業を行った。一方、後者については、交通荷重を想定して一層系の地盤表面を移動する鉛直荷重が作用する場合の地盤の支持特性を、荷重の大きさと水平移動距離の関係に着目して整理した。静止荷重に比べると移動荷重では支持可能な荷重の大きさは減少するが、移動距離が長くなるにつれて支持力は一定値に収束することを具体的に数値解析例を通して示した。一般的に、土木構造物に作用する外力は地震力・風力・潮力・波力など自然に由来する環境外力であっても、自動車や鉄道によって引き起こされる人為活動由来する外力であっても、時間域でその詳細を知ることは事実上困難であり、変動するこれらの荷重を適切にモデル化する必要がある。シェイクダウン解析では、これらの荷重の履歴そのものの情報は不必要で、これらの荷重がどのような範囲で作用するのか荷重空間内での荷重領域の情報があれば、繰返し外力に対する構造物の挙動予測を行える。このような手法はとりわけ設計法に有利であり、少ない計算量で構造物の挙動の上限を評価することが可能となる。今後我が国でも広く用いられることになる性能設計を考える上でも、本研究の成果は重要であると考えられる。
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Proceedings of 17th ICSMGE, Alexandria, Egypt (印刷中)
Proc. 4th International Conference on Advances in Structural Engineering and Mechanics (ASEM'08), Jeju, Korea (CD-ROM)