前年度の関東ロームに引き続いて、粘土地盤模型で杭付き胴木基礎の遠心実験を行って、支持力特性の解明を試みた。使用した地盤材料は藤の森粘土である。その他の実験方法、載荷方法、基礎模型などは前年度とほぼ同じである。土槽は透明なアクリル板が前面についた鋼製土槽(奥行12cm、長さ40cm、深さ30cm)である。底面には排水板を設置し、底面と排水板の間に水が通る隙間を開けるために等間隔で2mmの穴を開けた。十分に撹拌したスラリー状の藤の森粘土をベロフラムシリンダーにて30kPaで48時間圧密した。圧密終了後、基礎模型を地盤表面中央部に敷設した。荷重を鉛直に載荷し、変位計により基礎模型の鉛直変位を計測した。載荷板は胴木の交点部分での6点で点載荷した。載荷は速度制御0.01mm/secで行い、荷重-沈下量関係により、その支持力を考察した。 得られた荷重沈下曲線を関東ローム地盤におけるものと比較すると、粘土地盤よりも関東ローム地盤での支持力が大きなものとなった。関東ローム地盤では基礎模型直下の土の締め固まりが支持力の発揮に寄与していることが推測された。一方、粘土地盤では基礎直下で土は全く締まっておらず、支持力も1/4~1/6にとどまる結果となった。このことは、軟弱な粘土地盤では、基礎直下に沈下に伴う土塊ができず杭付き胴木基礎のみで十分な支持力を発揮するのは難しいと言えるかもしれない。城の石垣基礎などでは杭付き胴木基礎に加えて、しばしば敷葉工法が併用されているのは、この理由によるものと思われる。 今年度の成果として、緩いローム地盤では家屋相当荷重に対しては、十分な支持力が期待できるが、軟弱な粘土地盤では、敷葉工法を併用するなどのもう一つ工夫がいることが明らかになった。この点については、平成22年度の研究で、有限要素解析なども実施して確認することとする。
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