研究概要 |
平成22年度の研究では,前年度の現地観測で得られた長周期波の予測精度を高めるために,Deconvolution法を用いた干渉合成法により長周期波の水位波形推定を行い,相互相関法によるものと比較・検討し,水位波形推定の高精度化を目指した.その結果,以下の事柄が明らかとなった.(1)相互相関関数とDeconvolution関数を比較すると,Deconvolution関数の方が波源関数の影響を除去でき,2地点間の長周期波の伝播経路および反射位置を同定しやすいことが示された.(2)Deconvolution法により,長周期波の水位波形を推定した結果,観測波形と比較的良く一致し,本手法は長周期波の推定に有効な手法であることが示された,(3)相互相関法およびDeconvolution法を比較したところ,Deconvolution法の方がより細かく長周期波の波形を推定することができていることが確認され,Deconvolution法はより精度の良い長周期波の水位波形を推定することが示された 平成22年度より新たに津波干渉合成法による遠地津波の波形予測に関する研究を行った.津波波源域により近い観測点の波形データを用いて,所用の沿岸域の地点での津波波形をリアルタイムに推定する手法を開発し,その手法を実際に発生した遠地津波に適用し,その精度を検証した.その結果,以下の事柄が明らかとなった.(1)任意の地点の津波波形は,インパルスの重ね合わせで表現され,2地点間の津波波形の相互相関関数は2地点間のGreen関数に比例することが示された.(2)2010年チリ津波に対して,Hawaii諸島のHonolulu,KahuluiおよびNawiliwiliの3地点の津波波形とそれぞれの地点と花咲,御前崎および土佐清水との相互相関関数のConvolutionを用いて,それらの地点の津波波形を推定した.いずれの地点も津波波形の一致度は非常に高く,中継地点の津波波形を用いて,日本の沿岸域の津波波形を合成できることが示された
|