研究概要 |
波浪を動力として回転する「ギヤ整流型振り子式波力水車」を既に開発したが,この構造形式を,大きな波浪にも耐えうる(波受け板の振幅の限界を大きく出来る)現地用の波力水車を新たに製造した.製造した現地用波力水車およびエアレーションシステムは,現地に設置する前に,まず実験室の造波水槽に設置し得るように波受け板および吊り下げ鋼棒を小さなものに取替え,波力水車特性の検証実験を行った.その結果,空気製造量において極めて良好な結果が得られた.即ち,空気発生量は,実験室での小さな波のスケール(周期1秒から5秒程度で波高が20cm程度)でも,最大で,毎分20リットルの圧縮空気が製造されたため,波受け板を現地スケールに合うように大きくし,波浪が1m級になれば,その数十倍の圧縮空気が得られると予想される.特に本水車は,峰と谷の位相で反転する振動波力を,2個のラッチ付きギヤによって1方向回転に整流する機構を取り入れ,さらに圧縮空気製造用のシリンダーは,潤滑油が不要になるリニアクランク式を用い,油漏れなどの環境悪化を生じないように工夫されているため,実用化し易いという利点がある.これらの結果は,下記の論文集に掲載される予定である.本装置により自動製造される圧縮空気の利用方法としては,製造された圧縮空気を適当な場所までパイプ輸送し,そのまま海底から海水中に噴出するのが最も簡単であるが,気泡の海中滞留時間を長くするために,マイクロバブル化する方法の研究もあわせて行う予定である.
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