研究課題
クリーンな自然エネルギーの利用を目指す研究を約10年程前から実施しており、科学研究費による研究も4年目を終えた。H20年度~22年度までの本研究は、現地の海波による波力を動力として空気圧縮機を駆動させることにより、クリーンで無尽蔵な波浪エネルギーを実際に利用する事を目指すものであり、周囲を海で囲まれた日本にとっては極めて有用な研究である。H19年度までの研究結果では、幅1mで深さ50cmの水槽実験により、周期4秒程度で波高30cm程度の比較的小さな波によって、毎分およそ14リットル(大気圧換算体積)もの空気を製造できることが分かったため、実用化の可能性が高くなった。H20年度の研究では、大小様々な波が来襲するような現地海岸において、異常に大きな波が来襲した場合でも、波浪によって破壊することが無いように、波受板の回転角度が120度程度まで回転し得る波力水車の作成を行い、この構造形式でも十分な空気の発生が見込まれることを確認した。引き続きH21年度の研究では、まずその現地用の波力水車の特性を実験室で解析することを行った。特に現地海浜に於いて10mオーダーの深い水深部から空気を噴出し得るかどうかを検証するため、製造される空気圧を高める実験を行った。その結果、異常に大きな波が当たって来た場合にも、波受板は波力を逃がし得る程度まで回転できる構造となっていることが確認され、また製造される空気圧を高める方が、海波から抽出できるエネルギーが大きくなることが明らかとなった。例えば、通常よく来襲する3~4秒の波によるエネルギーフラックス量に対し、圧縮空気として抽出できるネルギーの効率は、約30%程度であり、この効串は、発電機を介してコンプレッサーを駆動させる場合の効率よりも高いと考えられるため、本波力水車は合理的な環境改善装置であると確認された。
すべて 2009
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
海洋開発論文集 25
ページ: 383-388
ページ: 695-700
土木学会論文集, B2 (海岸工学) Vol. B2-65, No. 1
ページ: 926-930