研究概要 |
波浪推算精度の向上を目指すとともに,海岸地形など様々な海岸情報を提供しうるシステムの構築を目指している.本年度は主に波浪推算手法の推算精度と推算誤差の原因について検討した. 波浪推算の対象としたのは2008年2月24日に富山で発生した高波災害発生時の高波浪である.この災害では入善をはじめとする富山湾およびその周辺に高波による被害が集中していた.この高波災害を再現するために気象庁GPVデータによる海上風データを用いて波浪推算を行った.その結果,概要での高波浪は再現されたが,富山湾内での高波浪は再現されなかった.検討の結果,その原因は発達した低気圧が日本海を通過する際に発生した強風の風向きが海上風データではわずかに異なるために,湾内に進入し災害をもたらしたであろう高波浪の波向わずかに西向きにずれ,この波浪は能登半島に遮蔽されて富山湾内には侵入しなかったことが分かった. このことから,波浪推算精度を向上させるためには海上風データの品質管理およびその補正が必要であることが分かった.この問題を解決するために,波浪観測データを用いた海上風場のデータ同化,あるいは局地気象モデルを用いた詳細な海上風場の再現,などの手法を用いて,海上風データの高精度化および波浪推算結果の高再現性化を進める必要があることを示した.
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