研究概要 |
2つの入口を持つ閉鎖的わんどの水交換機構,高水敷わんどの流れ構造及び土砂堆積機構,わんどの土砂堆積抑制方法及び水制,巨石を用いた河道多様性の創出について検討を行った.2つの入口を持つ閉鎖的わんどでは,開口部遮蔽物の長さ,奥行き,わんどのアスペクト比の影響を系統的に検討し,上流側開口部から流入する渦のスケールは開口幅に依存して形成され,わんど内に2次的な渦構造を誘起する.これに対し下流側開口部からの流入は側壁に沿ってわんど奥まで流入して大きな渦構造を形成する場合と,わんど奥まで流入できずに上流または下流の開口部から流出するパターンが現れる.高水敷わんどの流れ構造はわんど上流部の段落ち及び下流部の段上がりの設置角度の影響を大きく受けた3次元流れ構造に支配され,再付着流れと2次流構造によりわんど内の土砂堆積形態が変化することが示された.このような流れ構造は3次元の乱流モデルを用いた数値計算によっておおよそ再現できることが示された.わんどの土砂堆積抑制に関して掃流砂の抑制にはわんど開口部のかさ上げが効果的であるが,平水時の水交換を維持するためには下流部を開放するかまたは杭群のような断続的開口部を有するものが効果的であった.後者の場合,比較的粗い杭密度の場合でもわんど内土砂堆積は抑制され,水交換も維持できることが示された.次に,巨石を用いた河道多様性の創出については,一様砂の上に置かれた球体は直径の65%から75%程度まで沈み込み,その前面に洗掘孔を形成して平衡状態に達することが明らかとなった.また,両岸に交互に透過水制群を適当な間隔で設置することによって,淵と瀬を有する蛇行形状が形成されることが示され,多様な河道形態の評価方法を示した.
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