研究概要 |
平成21年度は,以下の(A)~(D)の分担研究を実施した. (A) 被覆材の損傷モード別の消波性能,越波低減性能の劣化度合に関する研究では,傾斜護岸での断面変形と性能変化に関する定量的評価を目的として,水理模型実験で得られた断面変化のデータをもとに断面形状のモデル化を行い,sin曲線でモデル化したモデル断面を用いた実験と数値計算により消波・越波量低減性能に及ぼす断面変形の影響について検討した. (B) 被覆護岸の断面変形量の統計的特性に関する研究では,護岸を対象とした確率的な劣化過程・補修モデルの構築を最終的な目的として,その際に必要となる断面変形量の統計的特性について,水理模型実験で得られたデータにもとついて検討した結果,断面変形の初期段階を除いて,変形量パラメータはほぼ一定で弱い相関のある増分をもつ確率過程に従うと推定された. (C) 被覆護岸の累積損傷に伴う護岸法面での被覆層の変形,また被覆工天端高の低下による反射率の変化の評価ツールの開発では,現場サイドで容易に目視計測できる被覆材の被災個数や被災領域,天端高の低下量,さらには設計条件を入力データとするニューラルネットワークを構築し,被覆工の累積損傷に伴う反射率に関してほぼ±5%程度の誤差で予測できることがわかった. (D) 本研究では,異常波浪などによる外的負荷(以後外力),外力に対する施設耐力劣化に注目した信頼性評価に基づき,事後および予防の保全シナリオをもつ施設保全計画問題について数理モデルを構築し,供用期間における総期待保全費用を評価規範とし,総期待保全費用最小化を目的とする最適保全方策について検討した結果,適切な保全計画が総期待保全費用削減に有効な手段たりえることが判明した.
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