本研究は、(1)人口流動・交流人口・産業構造から捕らえた地方部の生活圏域の類型を行うとともに、(2)生活圏域を構成する都市と農村を対象として交通網整備による生活圏域の広域化や道路沿いへの集住などの施策効果を自己組織化モデルによって把握するものである。 平成21年度は以下の2つを行なった。 1.階層原理のモデルの改良 モデルの改良点は2つある。1つは、自己組織化モデルを北海道・九州ブロックの実データを用いた適用へと発展させた。他の1つは、中間層の導入や階層構造の除去を試みて現状再現性の高いモデルを構築した。 2.生活圏域を対象とした国土管理施策の有効性の検討 ここでは、構築した自己組織化モデルを用いて、産業構造(新しい市場形成を含む)・生活施設配置・アクセシビリティを政策変数に取り上げて、自然共生地域の定住・交流人口の変化を把握し、施策効果とその発現速度から施策の有効性を評価した。特に、生活圏域では、定住人口の定着を目指した地域づくりの視点だけでなく、「地方部の新しい価値観による市場形成」により、交流人口を獲得していくことが重要であり、この施策効果をシミュレーションした。
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