本研究は、高速列車のトンネル突入について3次元数値解析を行い、トンネル入口周辺に放射するトンネル突入波をシミュレーションし、トンネルへのオフセット突入及びトンネル周辺地形の突入波への影響を評価することを目的としている。 初年度である20年度は、数値解析用システムの構築と解析ソルバの開発及び評価を行った。解析システムは、本研究で調達した解析用PC上に小空間でのTVD風上差分法によるものとCIP法を用いたものを試作し、その制度及び安定性について評価を行った。また、可視化ソフトウェアにより、解析結果をより分かりやすく評価するシステムの構築を行った。 本研究前に用いていた2次元TVD風上差分法ソルバを拡張したものは、3次元化により安定条件が厳しくなり計算時間間隔を短くする必要があったが、列車のトンネル突入をシミュレーションするには計算ステップ数が著しく増加し、その間の累積的誤差が大きくなり、計算が発散する傾向を示し、そのため計算結果の信頼性も疑われた。 そこでCIP法によるソルバの開発を開始した。試作ソルバでは、計算に必要となるメモリー等のコンピュータ資源は著しく増大したものの、安定条件が緩く、計算時間間隔を大きく取れることから累積的な誤差も小さく、TVD法によるものと比べ良好な結果が得られた。試作ソルバでは、単純なモデルまでしか解析できないことから、現在は実際的なトンネル突入モデルを評価するためにソルバの改良を行っている。本年度は初年度であることから成果発表には至っていないが、21年度以降成果を発表する予定である。
|