本研究は、高速列車がトンネルに突入する際に発生するトンネル突入波を、3次元的に数値解析するものでる。現在の新幹線トンネルは複線で、トンネル突入時にトンネルセンターからオフセットして突入している。またトンネル入り口付近の地形影響により突入波の発生および伝搬過程に影響を受ける。そこで本研究ではこのオフセットや地形影響について評価を行うことを最終目的としている。 昨年度はTVD法によるソルバを開発し安定性を評価したが、計算時間ステップが膨大になり計算誤差の累積が大きく安定性に欠けることから、CIP法によるソルバに改良することとした。そこで本年度は2次元、3次元のCIP法ソルバを開発し簡易なモデルでその評価を行うこととした。開発したソルバはCCUP法を基にしたソルバに非定常問題に対応できるよう重なり格子法を適用し、停止したトンネル空間と移動する列車周りの空間を表現し、重なる空間を補間しつつ解析ものとした。開発したソルバは、TVD法による方法と比較し、少ない計算回数で重なり部分において満足できる精度で解析できることを確認した。一方で、トンネル空間モデルで本来空間外に広がってゆくべき音波がモデル境界において反射し、トンネル入り口周辺に放射する音波の時間波形の解析をするにあたり精度を低下させるなど大きな障害になっている。そこで現在は完全無反射条件の設定方法を検討しているところである。成果発表については、無反射条件の設定などに問題があったためまだ行っていないが、この問題を改善したうえで22年度に発表を行う予定である。
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