研究概要 |
本課題では,平成22年度に以下の研究を実施した 1. 高速道路の工事規制始端部における規制材配置と車両挙動との関連性分析 平成21年度は,工事規制始端部における規制材配置と車両挙動との関連性を分析した.その結果,規制する車線によらず規制材が車線内に配置され始めた地点で潜在的追突危険性の悪化を確認した.これらの知見を検証し,さらに安全性向上方針を探るため,同一区間で規制材配置を変更し,昨年度と同様の手法で比較分析を行った.現行の規制材配置の場合に得られた結果と比較したところ,効果の現れ方に違いはあるものの,現行より規制始端部を強調すると,潜在的追突危険性の観点から改善効果が得られる可能性を確認した.この知見は規制材配置を含む工事規制範囲の運用によって,運転者に与える視覚情報をコントロールし,規制始端部の安全性を向上させる可能性を示唆しており,今後走行実験によりこの知見を精査・検証していくことを課題として位置づけた. 2. 連続車線規制区間の部分開放による交通運用効果の検討 平成21年度の成果で,高速道路工事規制区間の走行安全性には,交通状況が大きく関わっており,渋滞時は非渋滞時に比べ事故率が高いこと,非渋滞時は上述した規制始端部で事故率が高いことを明らかにした.規制材配置などミクロなマネジメントについては研究目的1で対象とし,研究目的2では,如何に渋滞を抑制するかというマネジメントについて検討した.具体的には,平成20年度東名集中工事で観測した,規制区間の分割・短縮化(部分開放)事例を用いて,部分開放による交通状況の変化を確認し,効果を検証した.結果として,渋滞が予想される工事車線規制区間を部分開放することで、交通円滑性および交通安全性が向上するという知見を得た.また非ボトルネック箇所の車線規制を開放する場合でも,大幅な渋滞の軽減と交通事故の減少を期待することができることが分かった
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