研究概要 |
本研究は,一般道と高速道路を対象に,広島地区で行われる公道実験データなどを用いて,多様なコンテクストに応じた,ITSを含めた安全施策の地区全体(エリアワイド)の効果分析を行い,得られた結果をもとにガイドラインの作成とワークショップを開催することでコンテクスト応答型警告(CRW)システムの推進体制づくりとプロセスを確立することを最終目的としている.本年度の成果を以下のようにまとめる. 1. 過年度に広島市内で行った走行実験データを用いて,心拍数や脳波などの生体情報を取り入れた車内警告情報および路側傾向情報が運転者の走行行動に及ぼす影響を評価した.生体情報を用いて精神的負荷決定モデルを開発し評価を行った結果,情報提供がドライバーのストレスを抑制する働きがあることを確認した. 2. 事故多発交差点が連続している国道2号線を対象に実施したウェブ型SP調査(800サンプル)を実施し,事故多発交差点が連続している道路区間における情報板の設置方法,車内型と路側型警告情報の提供効果の比較を行った.SP調査の結果,危険な交差点すべてに情報板を設置しても,最も安全な走行に結びつくとは限らないことが分かった. 3. 産官学の連携体制のもと,2009年12月9日にITS市民学習会を開催した.ITS利用者の立場からJAFMATE編集部の立川薫氏を招いた講演会「ITSは私たちを幸せにしてくれますか?」,前年度に実施した公道実証実験の装置を体験するITS実験車両の試乗会,および広島地域の各種ITSの取り組みを紹介するパネル展示会を行い,次の段階のITSの課題を明確にした.
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