研究概要 |
1. 熊本市壺川校区をケーススタディとしたリスクコミュニケーションの実施を通して把握された地域の防災ニーズとそれに対応して開発した支援システムについて考察した.特に,本支援システムの地域内での実効性を高め,他地域へも展開可能な統合化システムとして確立を目指すために,災害時要援護者の個別支援プラン作成と連動した地域展開の取り組み,およびその実効性・有効性の検証のために実施した避難行動訓練について説明し,提案した支援システムの有効性を示すとともに,他地域への展開が可能統合化システムとしての今後の課題について考察を行なった. 2. 地域防災力向上の取り組として熊本市壺川校区を対象に水害リスクコミュニケーションのためのワークショップを継続的に行ってきた.そして,そのワークショップを通じて内水・洪水氾濫シナリオを用いた避難訓練計画の策定を行い,時間的な氾濫水の広がりによる通路遮断を考慮した実践的な水害避難訓練を実施した.その結果,参加86名が連絡を受けて全員が自宅を出るまでには最大30分程度を要したこと,避難速度の最小値は46m/分であったこと,避難に要した最大時間は38分であったことなどが明らかになった.また,これらは,データに基づいた避難行動シミュレータの精度検証の方法の提案と避難行動シミュレータの構築を行った.
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