研究概要 |
本研究は,特定の都市への来訪者・ツーリストを対象として販売を想定する交通パス(都市内の鉄道・バスなどが1日など一定期間,定額で利用できる乗車券)に対する利用意向の把握をアンケート調査に基づいて行い,その購入数の推定とともに,効果がどのような関係主体に及ぶのか,また導入にあたっての問題点について明らかにして,その対応策について海外の先進事例との比較を通じて明らかにすることを目的としている. 本年度は,まず東京メトロ,熊本,鹿児島,函館の地下鉄,路面電車を運営する企業のヒアリングを行った.その結果,観光施設とのリンクによって潜在的な需要の誘発手段と考えること,業者間で収入を分配する手続きを省きながら魅力ある観光交通パスを販売していることがわかった. さらに観光者の行動分析において,東京都庁で実施されたデータを用いて,外国人来訪者の実態把握を行った.分析を通じて,ドイツをはじめ欧米からの来訪者も多いものの,中国,韓国,台湾からの来訪者が多いこと,居住地と滞在日数・訪日回数との関連性がみられ,訪問パターンにも差違があることを明らかにした.また,主成分分析より訪問地域がいくつかにグループ化できることが示唆された. 今後の課題として,個人属性をより詳細に考慮した周遊行動分析,ならびに交通パス導入による効果推計が上げられる.
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