交通管制データは信号制御等のため、交通事故データは交通事故を記録して様々な交通事故防止対策に分析するため、アメダスデータは気象情報として、太陽位置データは天文学等の基礎情報として、別々の目的で収集されているものである。そのため、過去においては、高速道路以外の一般道路において、交通事故データと交通管制データや太陽位置データを繋げて分析した研究事例は非常に少ない。 しかし、交通事故分析の高度化のためには、交通事故発生時の当事者の走行道路の交通状態量、交通時御発生時の降雨量、太陽グレアを分析することも重要である。そのため、本研究では、道路ネットワーク、交通事故発生地点の緯度経度情報、当該交通事故に関係した車両の進行方向ベクトル、アメダスデータ、太陽位置データ等を活用して、交通事故原票と交通事故発生時の交通状態量が記録されている車両感知器データ、アメダスデータ、太陽位置データを統合するシステムを開発した。本研究で開発したシステムは、GISと道路ネットワークを活用して、交通事故当事者が走行してきた道路を特定することができ、交通事故と車両感知器データ、アメダスデータ、太陽位置データを時間的・空間的に統合できるという特徴がある。 本年度は、これまでほとんど分析されてこなかった太陽位置が交通事故に与える影響について中心的に分析し、太陽が交通事故の第一当事者の正面付近に存在する場合には、交通事故の発生件数が多くなることを示した。特に、交差点事故や歩行者事故は、太陽が第一当事者の正面付近に存在している場合に多発していることが示され、複雑なタスクが要求される交通状況や対象者が小さい場合においては、特に太陽グレアの影響を受けやすいことが示された。
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