1.複機能グラニュール充填槽と多孔性担体が投入された亜硝酸型硝化槽を循環式となるように連結した処理プロセスを構築した(循環式USB-亜硝酸型硝化プロセス)。含窒素高濃度有機性排水を想定した人工排水の連続通水実験から、流入水のN/COD比0.08~0.56、流入有機物負荷約30kg-COD/(m^3・d)(USB槽の見かけのグラニュール充填容積基準、以下同様)、流入TN負荷約4kg-N/(m^3・d)ならびに硝化液循環比11までの操作条件下で有機物除去率95%以上と硝化液循環比に対応したTN除去率が達成された。また、亜硝酸型硝化の適用による高N/COD比の排水への有効性も実証された。 2.流入負荷約20kg-COD/(m^3・d)未満における有機物除去は主としてUSB槽で進行した。USB槽への流入有機物に対する亜硝酸性窒素の相対的な増大に伴い脱窒に伴う有機物除去の割合が増大し、メタン生成による割合は低下したが、常にメタン生成と脱窒は見かけ上並列的に進行して、広範囲のN/COD比での高有機物除去率を実現した。 3.構築された処理プロセスは、人工排水から実廃水(養豚廃水の一次処理水を使用)への置換率を徐々に増大することで円滑な実廃水への馴致が可能であった。また、流入負荷が約16kg-COD/(m^3・d)(流入NICOD比0.31)以下で対照系(人工排水系)と同等で高効率な有機物及び窒素除去が安定的に維持され、実廃水への適用性が認められた。 4.通水した排水によらず、流入負荷の増大に伴ってUSB槽から採取したグラニュールの比メタン生成活性と比脱窒活性は向上した。また、昨年度の系と同様にグラニュールから酢酸資化性のMethanosaetaならび酢酸資化性脱窒細菌のThauera属およびAlcatigenes属が多数検出され、これらがメタン生成と脱窒を担っている可能性が示唆された。
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