本研究の目的は、河川水においてレジオネラ属菌が生育しない水質条件を明らかにすること、操作が簡単で特異性の高いレジオネラ属菌の新しい分類法を確立することの2点である。河川水の水質とレジオネラ属菌の生育の有無との関係を明らかにすることと、分類・同定により菌種の分布を明らかにすることは、感染予防や、感染経路を推定するための基礎的かつ重要な知見となる。 山梨県内の河川や池の水、修景用水のレジオネラ属菌と水質の調査を行った結果、以下の点が明らかとなった。59調査地点中9地点で、レジオネラ属菌が検出された。レジオネラ属菌が検出された地点のBOD値は3mg/L以下で、生活環境に係る環境基準では、B類型以下に相当し、比較的きれいであった。レジオネラ菌が検出された地点のリン酸イオン濃度は0.019〜0.11mg/Lであった。リン酸イオンが検出されない地点では、レジオネラ属菌も検出されなかった。第一鉄イオンは、どの地点でも検出された。レジオネラの生育に必須とされる第一鉄イオン濃度が0.01mg/L以上あれば、レジオネラが生育する可能性がある。 測定自体が簡便で迅速、かつ、特異性が高い新しい分類法である、DNA解離波形解析法(Genopattern法)について検討を行った。Legionella pneumophilaの既同定株19株について、それぞれのDNA解離波形パターンを測定しマスターデータを作成した。波形の有効性については、現在検討中である。
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