研究概要 |
下水管渠は現在一般的な分流式下水道においては主に家庭や事業所から排出される下水をその終末処理施設である下水浄化センターへと運ぶ道の役割を担っており、管渠内では下水中の易分解性有機物の分解が進むことでバイオガスが発生することが知られている。バイオガスには二酸化炭素のような生活に直接害を与えない成分がある一方、硫化水素に代表される毒性のある成分や臭気を伴い健康な生活をおびやかす成分も存在する。下水道施設からの臭気に対する住民の要求水準は高いことからバイオガス発生の抜本的解決は重要であるが、分流式下水道への移行に伴う開渠から遮へい型管渠への移行,ディスポーザー利用の潜在的需要の増加など近年バイオガス発生を増大させる要因は増加している。本年度は食品産業の分野で知られているバイオプリザベーションの考え方を下水管渠へと応用することで既存のバイオガス発生対策である圧送管への空気注入や気相部の換気等と異なりエネルギー消費の少ない対策とするための基礎について検討を行っており、基質としてディスポーザーの普及によって下水管渠へ流入量が増大すると考えられる下水中の食品残渣のモデルとしておからを選定し、そこで増殖可能な乳酸菌について菌株を用いて検討を行った結果、市販のおからについては含水率を調整することで乳酸菌の増殖が可能な種類もあるが十分に増殖が期待できないものもあり、適切な菌数の乳酸菌および液体培養された乳酸菌培養上澄液を添加することで制御するバイオガス発生の抑制効果について評価プロトコルを開発した。
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