従来の、生物処理後の二次処理水にオゾン処理プロセスを組み込む方法では、汚泥に吸着される微量有機汚染物質はオゾン処理されず、系全体での処理効率は低下するおそれがある。またオゾンの過剰添加は、副生成物を努生させる可能性があり、よりきめ細やかな操作が必要とされる。これに対して、本研究で対象とするオゾン間欠ばつ気システムでは、生物学的処理プロセスに直接オゾンを導入し、活性汚泥へのオゾン直接添加を行う。この場合、汚泥に吸着された微量有機汚染物質のオゾン酸化も可能であり、またオゾン添加に伴い臭素系化合物が生成されたとしても、再び生物処理を受けられることから、システムとしての臭素系化合物の生成は抑制される可能性がある。さらに、このように一度生成された副生成物を再分解出来ることは、結果として操作性を容易にさせ、かつ安定した処理が達成できることにも結びつく。このような従来法の欠点と化学物質と活性汚泥の相互作用の知見から、オゾン処理を組込みながら、有害物質の発生を抑制し、同時に微量有機汚染物質、とりわけ汚泥に吸着しやすいと考えられるエストロゲン様物質をも処理できる、超高度廃水処理システム[オゾン間欠ばつ気型生物学的反応器による超高度廃水処理法]の開発を目的とする。平成20年度では、エストロゲン性物質に焦点を当て、生物反応槽での挙動を酸素濃度やpH、ORPなどの環境条件によりどのように反応するのかを調査し、適切なオゾン添加のための基礎的条件の検討を行った。またオゾン添加に伴う金属類をはじめとする各種元素の挙動についても調査した。エストロゲン性物質は溶存酸素枯渇条件で、前駆物質の生物学的代謝により生成することや、オゾン添加により汚泥の可溶化が促進され多くの元素は液相中に移行するが、Caについては溶存態濃度が低下すること等を明らかにした。また関連する数理モデル開発も行った。
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