本研究で対象とするオゾン間欠ばつ気システムでは、生物学的処理プロセスに直接オゾンを導入し、活性汚泥へのオゾン直接添加を行う。この場合、汚泥に吸着された微量有機汚染物質のオゾン酸化も可能であり、またオゾン添加に伴い臭素系化合物が生成されたとしても、再び生物処理を受けられることから、システムとしての臭素系化合物の生成は抑制される可能性がある。さらに、このように一度生成された副生成物を再分解出来ることは、結果として操作性を容易にさせ、かつ安定した処理が達成できることにも結びつく。このような従来法の欠点と化学物質と活性汚泥の相互作用の知見から、オゾン処理を組込みながら、有害物質の発生を抑制し、同時に微量有機汚染物質除去が可能な、超高度廃水処理システム[オゾン間欠ばつ気型生物学的反応器による超高度廃水処理法]の開発を目的とする。 平成21年度では、本処理方法における金属類の挙動に焦点を当て、汚泥の可溶化特性に与える金属類の影響およびオゾン処理における金属類の挙動についての検討を行った。汚泥のオゾン処理では、SSベースの可溶化率は0.3程度までは上昇し、その後鈍くなることがわかった。金属量の少ない汚泥では、少ないオゾン消費量で可溶化率が0.3程度に達したが、COD_Crベースの可溶化率は金属種の量により大きな変化は見られなかった。カルシウムはオゾン処理初期に減少し、その後一定となっているがその他の金属(Mg、Al、K、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、Zn、Ba)の溶存態濃度はオゾン処理に伴い上昇した。カリウムを除き、金属は有機物よりも溶存態の形態になりにくく、リン酸よりも溶出しにくいことがわかった。オゾン処理に伴う金属類の可溶化効率はリン酸の可溶化効率より小さいことから、汚泥中の金属の存在により本システムにリン回収工程を設けた場合でも、回収リン固形物中の金属含有量が著しく増大する可能性は高くないことが示唆された。
|