オゾン間欠曝気システムを導入し、汚泥減容と排水の高度処理ならびにリン結晶化プロセスを加えた「オゾン間欠曝気型超高度処理プロセス」の開発を行った。本年度は、システム内での微量汚染物質や金属の挙動を、回分実験や連続実験を通じて明らかにするとともに、システムの要素プロセスでの挙動やシステム全体での除去効果について調査・解析を行った。得られた成果は以下の通りである。 1. オゾン処理プロセスにおけるエストロゲン性物質の挙動について、実験的に明らかにした。各エストロゲン性物質はオゾン消費量約30mgO3/gSS、COD可溶化率0.1程度までに急激に減少し、その後はほぼ一定であった。また、汚泥が存在しない場合の反応速度定数により、汚泥存在下におけるエストロゲン性物質の分解しやすさを表すことができることを示した。オゾン処理により吸着特性が大きく変化することはなく、求められた吸着等温線はオゾン処理を行わない汚泥での値に近いものであった。 2. 本システムにおけるエストロゲン性物質の挙動について、有機物およびリンの定常状態モデルを構築し、エストロゲン性物質の挙動を推定した。エストロゲン性物質は、汚泥のオゾン処理率を増加させることにより、除去効率を向上させることができ、可溶化率0.1、汚泥引き抜き率0.0017(従来の約10分の1)で運転した場合、従来の活性汚泥法と比較して、1.7~3倍の除去効果が得られた。 3. 連続処理結果をもとに物質収支解析を行い、流入水負荷のうち汚泥に移行する割合を定量化した。マンガンは73.6%、アルミニウムは63.1%、鉄は58.3%、クロムは56.2%、銅は55.6%、ニッケルは21.7%、カルシウムは8.52%であることを明らかにした。一方でマグネシウムは8.80%、カリウムは16.0%であることを示し、それらはポリリン酸と関連し細胞内に蓄積されていることを明らかにした。
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