研究課題/領域番号 |
20560506
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤川 陽子 京都大学, 原子炉実験所, 准教授 (90178145)
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研究分担者 |
菅原 正孝 大阪産業大学, 人間環境学部, 教授 (60026119)
濱崎 竜秀 大阪産業大学, 人間環境学部, 准教授 (50340617)
八島 浩 京都大学, 原子炉実験所, 助教 (40378972)
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キーワード | 鉄バクテリア / 砒素 / 鉄 / EXAFS / 吸着 |
研究概要 |
(目的)我々は鉄バク法で形成されるフロック中の酸化物の構造が鉄系吸着剤と異なる特異なものであるために3価枇素を高LVで直接除去できるとの仮説をたてている。仮説を検証することを目的とし、SPring8のBL14b2ビームラインで鉄バクフロックに吸着させた砒素および鉄バクフロック中の鉄のK吸収端のXAFS測定を行った。対照として化学プロセスで形成された酸化鉄に吸着された枇素、およびその中の鉄についても測定を実施した。(実験方法)鉄マンガン除去のため鉄バク法で稼働している浄水場(大和郡山市北郡山浄水場)のろ過池の逆洗排水からろ別により鉄バクフロックをえた。この鉄バクフロックに(1)直ちに液体窒素凍結して生物活性を抑制(不括化鉄バク)、(2)常温のまま保存して測定供試(常温鉄バク)、(3)直ちに真空凍結乾燥(乾燥鉄バク)、の3通りの処理を施した。これは、鉄バクフロックが上述の処理によって吸着性能が変化することがこれまでの研究で判っているためである。(1)-(3)各々を園液比1:1000で模擬河川水中に懸濁させて3価または5価枇素を4ppm添加したバッチ吸着実験系を作成した。砒素を添加して1時間後に固相をろ別してXAFS測定に供した。γFeOOH,αFeOOHおよび浄水場で塩素酸化により形成された鉄スラッジについても同様に検討した。測定雰囲気は原則として約180Kの低温とした。 (結果と考察)鉄バクフロックと塩素酸化鉄とでは、Fe K-edgeのERXAFSでは大きな違いは認められなかった。一方過去の研究でγFeOOHが鉄バクフロックの鉄の構造に近いとの報告があったが、EXAFS測定結果を見る限り、両者の構造には大きな違いがある。砒素の第2近接について、鉄バク法で形成された酸化鉄の吸着特性の違いを兄いだせる可能性がある。現在、データの解析中である。なお、図には示さないが、As(3)とAs(5)を吸着した鉄バクフロックの枇素のK吸収端での動径構造関数には明確な差異が認められた。鉄バクフロックでのEXAFS測定においては当初、SN比の高いデータ取得の可否について懸念があったが、今回の測定ではその点で大きな問題はなかった。
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