平成20年度においては、日射による加熱を伴う内部欠陥の検出に関して、検討した。 本研究課題の遂行にあたる研究組織は、研究代表者が単独で組織した。 平成20年度においては、分解能が高く屋外計測時においてもバッテリによる作動が可能な最新の赤外線サーモカメラを設備備品費により導入した。この赤外線サーモカメラを用いて、モデル供試体のより精密な測定を行った。塗装により表面色を様々に設定し日射吸収率を変化させたモデル供試体を太陽光で加熱する詳細な検証実験や実構造物の測定を行い、その測定結果を提案する簡易解析手法による数値解析結果と比較し、その実用性を検証した。 また、表面温度に及ぼす影響要因を分析し、解析精度をさらに向上させる手法についても検討した。面内方向への熱伝導による温度分布を検証するため、白地に黒色で点状または線状に塗装した試験体を用いて温度分布を測定した結果、線状塗装供試体では表面温度分布はその理論式である対数関数でほぼ表せるが、点状塗装供試体ではその理論式である双曲線関数と対数関数の間にあること、50mm程度の影響半径が存在しそれ以上の距離への熱伝導は事実上認め難いことなどが判明した。双曲線関数が無限遠点で収束することから、影響半径の設定により積分値は減少する。本研究で提案する簡易解析手法は各点に入力した熱量による影響を重ね合わせることで算出しているため、これらの影響は無視できないものとなった。
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