2007年新潟県中越沖地震(Mj6.8)が発生し、柏崎市やその周辺地域で最大震度6強が観測され、家屋の倒壊など甚大な被害が発生した。特に震源近傍に存在した東京電力株式会社の柏崎・刈羽原子力発電所(以下「KK原子力発電所」と言う。)において非常に大きな地震動が観測された。本研究では比較的良質な地盤(岩盤)上に立地する原子力発電所サイトでなぜ被害に結びつく強い地震動が観測されたのか、原子力発電所の耐震設計のための新指針においてこのような強震動が予測可能なのか、またレシピの有効性などを観測記録の分析や地震後精力的に実施されている各種調査結果などを参照した解析的検討によって明らかにすることを目的とする。 平成20年度は、新潟県中越沖地震時の強震動生成メカニズムを解明するため、まず経験的グリーン関数法によるフォワードモデリングによって震源のモデル化を行い、3つのアスペリティからなる不均質震源モデルを提案した。また、特に柏崎・刈羽原子力発電所の南西側に位置するアスペリティからの地震動の影響が顕著であったが、その原因を3次元有限差分法を用いた理論的シミュレーションによって検討した結果、この地域における深部、浅部の褶曲構造による地震波のフォーカッシングが大きな原因であったことを確認した。
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