研究概要 |
平成20年度は、はじめに「火災時高温下の冷間成形角形鋼管柱材の力学的挙動」を明らかにする実験の試験体、(1)高温引張試験片、(2)高温短柱圧縮試験体、(3)高温中心圧縮座屈柱試験体を設計し作製することに重点を置いた。実験の狙い、電気炉のサイズ、加力装置の容量等を考慮して、熟慮の末、鋼管材料には断面サイズ□-100x45,□-100x6.0のSTKR400材を採用し、試験体を作製した。 次に、実験は、(1)高温引張試験、(2)高温短柱圧縮試験を実施した。ただし、これらは平成21年度に実施する(3)高温中心圧縮座屈柱試験の予備実験である。 (1)高温引張試験には、鋼管全厚を用いた平行部幅10mmで検長50mmの突起付きの引張試験片を設計し、常温、400,500,600,700℃の実験温度を設定して実施した。また、JIS5号試験片による常温下の引張試験も別途実施した。 (2)高温短柱圧縮試験は、反力フレームに油圧ジャッキ、ロードセル、加力治具、電気炉等を組込んだ自作の加力装置を用いて一定温度下の平押しの条件で実施した。試験温度は常温,400,500,600,700℃を設定し、特に500,600,700℃については加力時の変形速度を2種類採用し、高温粘性(高温クリープ)1の影響を調べた。本実験の結果から、実験温度の上昇に伴って軸荷・重軸変形関係が劣化する様子や、幅厚比の違いによって局部座屈による荷重低下の程度に差異が生じる様子が分かった。また、500℃以上の高温域では加力時の変形速度により試験体の強度に差異が見られた。
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