地震動を受ける建築物の損傷を適切に評価するためにはどのような地震動の強さの指標を用いるのがよいかについて地震応答解析により検討を行った。昨年度までの研究で地震動をパルスの連続と見なしたときパル氏の時間積分で表される力積の最大値が他の指標よりも建築物の損傷との相関が高いことを明らかにすることはできたが、ばらつきの大きさを既往の研究よりも小さくすることはできなかった。 このばらつきが大きい原因を明確にしてその改善を図らないと有効な指標にはならないので、1自由度系の弾塑性モデルを用いて力積の大きさが上位10個と構造物の応答値の上位10個の関係を詳細に調べた。この結果は地震動固有の特性に依存して複雑であるが、固有周期を0.2sから1.0sの範囲での特性としては、最大力積の9割以上の力積で最大応答の8割以上が決まっていると見なせるものが半分以上はあることが解った。 最大力積を半正弦波の衝撃荷重とした推定値は最大応答は目標塑性率が2の場合は推定値が2割ほど大きくなり、この方法は基本的には問題ないが改善の余地がある。 多自由度形についての解析は、RC造構造物を対象にしたモデルとS造構造物を対象にしたモデルを設定して解析を行っているが、現在解析途中であり、多くの解析に基づいてまとめる予定である。
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