研究概要 |
飛来塩分量を海岸からの距離に応じて4箇所に設置した捕集器により長期間測定した。その結果,海岸からの距離に応じて指数関数的に飛来塩分量が減少することが分かった。測定された飛来塩分量は,日本建築学会建築工事標準仕様書・同解説(JASS5(2009年度版))に示されている飛来塩分量と同程度の値であった。 また,飛来塩分の海岸での発生量と風向・風速との関係を,気象庁の観測データと飛来塩分捕集器の近くに設置した気象観測装置によるデータで比較したところ,気象庁データではあまり相関は認められなかったが,捕集器近くに設置した気象観測装置によるデータとは相関が高かった。このことより,飛来塩分量の発生予測には,対象とする飛来塩分発生場所(海岸)の風況を測定あるいは予測する必要があることが分かった。飛来塩分の捕集には,風向・風速のみならず降雨量や温湿度も関係すると思われ,今後継続してデータを蓄積して,それらによる測定への影響程度を評価する予定である。 すでに暴露したコンクリート試験体を用いて,飛来塩分量とコンクリート中の塩化物イオン量を検討したところ,両者には相関が認められた。今後も観測を続け,定量的に明らかにしたい。また,コンクリート中の塩分の見掛けの拡散係数は,経過時間とともに次第に低下することが確認された。しかし,セメントの種類によっては,逆に増加することもあった。 金属材料の腐食環境については,沖縄県は他府県に比べて飛来塩分量が多く,夏場よりも冬場の温湿度が高いことが分かった。
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