研究概要 |
本年度においても,飛来塩分量を海岸からの距離に応じて4箇所に設置した捕集器により長期間測定した。 昨年までのデータと同様に,風向・風速と飛来塩分発生量との関係を,気象庁の風況観測データと飛来塩分捕集器の近くに設置したWeb気象観測装置による風況データで比較したところ,気象庁データではあまり相関は認められなかったが,捕集器近くに設置したWeb気象観測装置によるデータとは相関が高かった。このことより,本年度は飛来塩分量の発生予測のために,任意の飛来塩分発生場所(海岸)の風況を予測する手法を2つ提案した。 その一つは領域気象モデル(WRF)による風況予測で,もう一つは,複数の気象観測所の風況データを地形等を考慮して,予測地点までの距離による重み処理を施して風況予測を行う手法である。 上記2つによる方法と実際のWeb気象観測装置による風況データとを比較したところ,その精度はほぼ同程度であった。両者ともに,もう少し精度を上げる工夫が必要と思われる。ただし,気温については,両手法ともWeb気象観測装置による測定結果とほぼ一致しており,凍害等との複合劣化が問題となる場所への利用については有効であると思われる。 昨年と同様にコンクリート試験体を用いて,飛来塩分量とコンクリート中の塩化物イオン量を検討したところ,両者には相関が認められた。今後も観測を続け,定量的に明らかにしたい。 サイディングによりコンクリート表面を被覆して飛来塩分を遮蔽すると,コンクリート中への塩分浸透が大幅に抑えられることも実験的に確認した。
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