研究概要 |
平成22年度は,混合モード破壊を試験体レベルで再現するために20,21年度に確立した寸法200×200×100mmの小型供試体に切り欠きを挿入することで簡便に4点せん断試験が行なえる手法を用いて,仕上げが異なる各種材料条件での荷重-変形曲線を計測し,その特徴と実験要因との関係を考察した。 実験に用いた供試体の条件はコンクリート,コンクリート表面にプレーンモルタルを施工したもの,コンクリート表面に繊維補強モルタルを施工したもの,コンクリート表面にプレーンモルタルおよびタイルを施工したもの,コンクリート表面に繊維補強モルタルおよびタイルを施工したものの計5種類とした。コンクリートおよびモルタルの水セメント比50%一定とし,繊維補強モルタルには直径13μm,長さ6mmのビニロン繊維を体積で1%混入した。また,タイルは磁器質のものを用いた。なお,4点せん断試験は材齢12週で行なった。 4点せん断試験を行なった結果,コンクリートのみの場合と比較してプレーンモルタルを施工することでせん断変形に対する耐力およびひび割れ抵抗性が向上し,繊維補強モルタルを施工することでコンクリートの変形に対する変形追従性能が高くなり,せん断変形に対するひび割れ抵抗性がさらに向上することが明らかとなった。また,厚手の磁器質タイルを施工することで,せん断力に対する耐力が向上する可能性が示され,繊維補強モルタルと組み合わせることでひび割れ抵抗性も向上した。 以上より,実際のコンクリート構造物においてもコンクリート打ち放しにタイルを施工することでせん断耐力が向上する可能性が示された。また,張付けモルタルに繊維補強モルタルを施工することでその効果は増大するものと考えられる。
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