本研究は、鉄筋コンクリート架構で、左右の梁の軸芯がずれ、互いの梁芯が相互の断面内を通る場合の接合部終局強度に、軸芯のずれの大きさが与える影響を検討することである。 梁主筋の接合部内での定着方法を、U字型定着とした場合と、機械式定着とした場合について、梁の芯ずれ量を変数とする試験体の加力実験を行った。本年度は、前年度までの実験結果を分析し、定着方法と載荷方向を考慮した接合部抵抗機構の作成を試み、段差梁試験体(左梁が上側、右側が下側)の、最大耐力への定着方法、芯ずれ量及び載荷方向(正載荷:左梁上端、右梁下端が引張)による違いを抵抗機構から検討した。 芯ずれ量が梁せい未満では、芯ずれ量が増すと、柱の反曲点と柱接合部端までの距離が短くなり、柱から接合部へ入力される圧縮ストラットに作用する柱接合部端圧縮力が小さくなる。従って、接合部終局強度までに大きな接合部水平せん断力を必要とする。正載荷は圧縮ストラットが多数接合部に形成され、また、負載荷には接合部上部と下部を縦断する圧縮ストラットの左右の梁の重なる領域で圧縮応力が大きくなる。機械式は、負載荷に引張力を受ける左梁の下部梁主筋と右梁の上部梁主筋定着板間が近くなるにつれて直接せん断の状態となる。 芯ずれ量が梁せいの場合、正載荷では接合部上部と下部で独立した圧縮ストラットが、負載荷では、それに加え接合部上部と下部を縦断する圧縮ストラットが形成される。機械式定着では負載荷時に引張力を受ける左梁の下部梁主筋と右梁の上部梁主筋の支圧力が定着板間で伝達される。
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