研究概要 |
「分散型実験システムを用いた統合化評価法」は,世界中各地に点在する実験設備を効果的に利用して、実大規模の建物や構造物の弾塑性振動実験を、大型振動台実験と比較して,安価に実施することのできる方法である。 本年度は,上述の統合化解析のための準備を行った. 1.せん断パネルダンパー単体の多軸応力下における耐力評価 これまでに実施したせん断ダンパー単体の繰り返し載荷試験に加えて、パネル面内方向に対して45度傾いた方向に載荷試験を行い,その塑性変形性能を確認した. 2.せん断パネルダンパーの単体の設計式の構築 パネル面内方向に対して0度の標準載荷の疲労実験,漸増繰り返し試験を行って,提案する,塑性変形性能を表示するための設計式の妥当性を示した. 3.統合化解析用建物の構造設定 せん断パネルダンパーを用いた,鉄骨造多層建物の構造設計を行い,梁,柱,および,ダンパーの形状を決定した.実際の地震応答は,載荷角度が45度の場合が起こるが,このときのパネルダンパーの剛性は約半分程度と現行の設計法では見落としている現象があることを明らかにした.
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