ヒートアイランド現象の顕在化、地球温暖化や化石資源の枯渇に対する懸念等を背景として、都市・建築環境においては、都市や建築物の緑化による室内温熱環境の改善効果が期待されている。しかし、緑化による室内温熱環境の改善効果について、現段階の知見は定性的なものに留まっており、定量化および熱・湿気環境に及ぼす影響の機構解明はなされていない。したがって、建築環境の設計において緑化を効果的に導入するためには、緑化の効果を定量評価するとともに、蒸散作用や日射遮蔽効果が建築環境・周辺環境に及ぼす影響についての機構を解明する必要がある。本研究では、建築環境の改善における緑化効果についてその定量的な評価を図るとともに、特に熱・湿気環境に焦点を当てて緑化効果の機構解明を目指す。具体的には、下記の4項目について研究を実施する。本研究を遂行する上で最大の阻害要因は天候であり、天候に左右される研究項目については複数年度に亘って計画した。 平成20年度は研究初年度であり、各項目とも計画通りに研究を開始した。実施状況を併せて記す。(1)緑化植物の蒸散量定量化・・・「植物1株単位の蒸発量測定」を遂行。また、次年度実施予定であった「単位植栽面積(1m2)当たりの蒸散量測定」の測定装置を開発。(2)植物の蒸散による熱・湿気微気象環境の把握・・・「微気象測定装置の開発」を遂行。(3)建築物内の熱環境における屋上・壁面緑化の冷暖房負荷低減効果・・・緑化建物の冷房負荷測定を実施。(4)緑化面の日射反射による照り返しが室内熱環境に及ぼす影響・・・測定装置を開発、測定を開始。ただし、天候の関係で追試が必要。
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