研究概要 |
本研究の目的は屋外環境において窓の熱性能(断熱・遮熱)を測定し計算値と比較するこどである。 研究計画では屋外に試験箱(1面に窓を取り付ける)を設置し、室温をコントロールした状態で温度,熱量を計測する方法を考えていたが、研究代表者の所属の変更に伴い既存試験装置が利用できなくなったことと、鹿児島大学では台風対策で屋上フィールド実験の制約があり、試験方法を大幅に見直した。まず試験箱を1m角程度に小型化し、基準箱と試験箱の2つを製作し、比較実験で評価する方法に改めた。これにより窓の方位の設定や、台風時の撤去を可能にした。また窓から室内へ侵入する熱量を、熱流計を用いて計測する方法から、恒温槽を用いた集熱パネルによる計量に変更した。集熱パネルは車の熱交換器を転用したもので、窓からの日射を効率よく集熱し、日射の変動にも追随できることを確認した。本年度は試験方法の検討と、妥当性の検証が主な研究課題となり、小型試験箱で窓からの熱流をどのようにして計量するか、熱流計を用いた実験も含め、試行を繰り返した。試験箱を小型にしたことで、評価できる窓のサイズは制約を受けるが、研究目的の1つである、カーテンやブラインドなど付属物の評価には支障がないことを確認した。屋外での実験のため、日射や風など外界気象条件が大きく影響するが、目射量(水平面,鉛直面),赤外放射量(水平面,鉛直面),近傍風速,気温など、窓の熱収支を考える上で必要な項目は、十分な精度で計測できるシステムを構築した。これによりシミュレーションとの対比が可能となる。シミュレーションについては21年度から検討する予定である。
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