今年度に実施した研究の成果は以下の通りである。 (1) 学校環境における室内空気汚染の実態調査 本年度は昨年度に引き続き、特別教室(コンピューター室)の室内空気汚染について明らかにした。実測調査の結果、室内化学物質濃度は、測定地点により分布があった。ま友き、TVOC濃度が厚生労働省の定める暫定目標値(400[μg/m^3])を超過する地点があった。 (2) 各種ガイドラインの見直し 1)汚染実態と濃度予測値による新基準の提案 これまでの研究成果により示された教室内汚染の実態を整理し、かつ実験的に求められた発生源発生量を濃度予測式に代入して、教室内の化学物質濃度予測を行った。その結果、濃度予測値は概ね室内濃度実測値の範囲内にあった。また、生徒、教職員に対するホルムアルデヒドとVOC(50物質)の個人暴露量の推定を行った結果、既往の学校環境に関する室内濃度指針値(学校環境衛生の基準、JEMA完全基準)は妥当であると考えられた。 2)規制対象化学物質の再検討 学校環境に関する既往めガイドライン(室内濃度や教材教具の発生量など)においては、ある限られた化学物質が規制されているにすぎない。本研究では、教材教具使用時の室内汚染を把握することにより、これまで規制されていなかった化学物質についても、ガイドライン制定の是非を検討した。その結果、教材備品からは室内濃度指針値が定められていない物質について、微量の発生が示された.しかしながら、本研究において試験対象とした室丙濃度実測値や教材教具の発生量は、人体に影響がない程度であり、現時点で対策を講じる必要はないものである検討結果が示された。
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