本研究は、シンチレーション法と渦相関法の同時長期観測を行うことにより、それぞれの測定法のソースエリアを注意深く解析し、渦相関法の値を援用しながらシンチレーション法における有効高さの算定を行うことを研究目的としている。また、同時に行う渦相関法のための乱流計測値からパス高さにおける摩擦速度の値を求め、自然対流以外の条件における適用可能性についても検討するとした。 20年度は、当初から計画していた、中央区役所屋上と旧・丸の内庁舎の屋上を利用して、2月と3月の約2ヶ月間にわたって実測を行った。これは、安定成層条件が得やすい寒候期を意図したものである。データは現在解析中である。また、シンチレーション法の基礎的な検討として、現在長距離シンチロメータ(BLS)でデフォルトとして使用されている計算式が、自由対流が卓越する日中の不安定成層を仮定しているため、これ以外の大気安定度条件では、顕熱フラックスの算定値がどれくらいずれてくるのかの確認が重要となる。そこで、原理的にはBLSと同じである短距離用のシンチロメータ(SLS)を用いて、この点に関する渦相関法との比較実験を、本学キャンパス内にあるスケールモデル実験サイト(100m×50m)で実施した。 数値シミュレーションに関しては、住宅地図を購入し、検証計算の準備を進めた。なお、21年度には有効高度の算出をレーザー計測による都市形状データを用いて行い更なる精度向上を目指す。
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