本研究では、領域型ミュージアムのステムデザインについて、20年度は条件整理と概念構築、21年度は各分野の要素的研究を行ってきた。22年度は各分野の成果を結合してシステムデザインの実践的なまとめを行った。実際の都市空間を対象とした領域型ミュージアムの建築・都市的な構想検討、および情報システムの試作開発の継続を行った。具体的なし着せた内容は以下の通りである。第一に、建築空間系研究においては、展示空間小型化の検討を行った。桜川市で建設のの展示公開施設のために「たからケース」という2.1m立方の展示ユニットの試作検討を行なった。その結果、展示空間の小型化によって空間利用の効率化と展示演出の集約化をはかれることを確認した。第二に、都市領域系研究においては、分散配置方法論の実践的検討を行った。札幌市に展開する領域型ミュージアムの構想において、多数の小学校にミュージアム機能を組み込む「スクール・モバイル」、都市施設にミョージアムを設営する「ストリート・モバイル」等の検討を行った。第三に、情報システム系研究においては、21年度に試作開発した領域型ミュージアム用のiPhoneアプリケーションi-Compassの開発を継続し、システムの仕様調整や公開準備を行った。 以上をまとめると、建築分野では展示空間の小型化を、都市分野では小型ミュージアムの分散配置を、情報分野ではアプリケーションによる空間連携を研究した。これにより、領域型ミュージアムの特質である小規模分散型のシステムデザインの総合的な実践成果を得ることができた。
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